2018年7月19日木曜日

発炎筒の中で選手を育てるクロアチアリーグ。

発炎筒の中で選手を育てるクロアチアリーグ。:  フランスにはクレールフォンテーヌ、ベルギーにはサブロンが作ったトップスポルトがある。どちらも近代的なアカデミーで移民の吸収を行いながら、ロシアで躍進した国だ。強さは育成部門にある、という論調もわかる。しかし、クロアチアは育成部門が優れているわけではない。そもそも、協会が主導するアカデミーは存在しない。あるのはスポット的な若手強化合宿が一週間程度。これで、クロアチアの育成部門が優れていると論じてしまうのなら、日本の育成部門はフランス並に優れていると言わなければならない。日本にも協会主導の育成部門はあるし、予算で言えばフランス並である。  クロ...

プレイモデルからの逆算。プレイモデルによって練習は設計される。

プレイモデルからの逆算。プレイモデルによって練習は設計される。:  プレイモデルとは、習慣によってチーム全体に共通の行動理念を植え付けることにある。今、有効かどうかはさておき、ゼロからプレイモデルを構築する事を考える。まず用語の統一をする。ピッチを縦と横に分ける。縦のレーンは5つ。サイドレーン、ハーフレーン、センターレーン。横のフォースは4つ。自陣からファースト・フォース、セカンド・フォース、サード・フォース、フォース・フォース。  さて、こんな攻め方をしたい。セカンド・フォースから、サード・フォースを省略して、フォース・フォースにパスを出しフィニッシュに至る。中盤を省略した縦に速い戦術...

2018年7月17日火曜日

縦に出し、目標とする位置に止める練習。

縦に出し、目標とする位置に止める練習。:  時速九十キロのパスは一秒間に二十五メートルを進む。フィールドの半分を進むのに二秒だが、厳密にはシュートの初速に匹敵する時速百二十キロ程でなければ二秒では届かない。芝生に吸収され、減衰するエネルギーは多い。ところで、人間は〇.一秒を判別可能だが、静止から動き出しの一メートルを進むのに〇.三秒程必要だ。合格ラインとしては、ボールの二メートルに接近する相手に取られないような高速パスを〇.四秒以内に通せば門をくぐることが出来る。もちろん、複数の相手の横を通すならば難易度は増す。  結局速いパスを出すことは敵がカットする確率を低くするといった、当たり前の...

マラドーナの放言は時に正鵠を射る。アフリカは移民のせいで弱体化した。

マラドーナの放言は時に正鵠を射る。アフリカは移民のせいで弱体化した。:  アフリカの英雄で人格者に転身したドログバは、アフリカ勢がグループリーグで全滅した時「アフリカの危機だ」と言ったが、南米の暴れ馬マラドーナは、ナイジェリアに中指を立てまくったり、ノンスモーキングの場所で葉巻を加えたりしながらも、アフリカの現状を正しく言い放った。 「アフリカが弱体化したのは欧州がアフリカの移民を自国民にしたからだ」  さすがに、現代的奴隷貿易とまでは言わなかったが、文脈は多いに孕んでいたはずだ。悪童だが流石に一時代の寵児。面倒臭いやつだが憎めないのは、物事を臆面もなく正直に言うからだろう。  確かに今...

VARはPKを多くした。そして、MF、DFに転倒が起こる。

VARはPKを多くした。そして、MF、DFに転倒が起こる。:  ロシアで採用された映像判定システムは、大会が終わってみればPKからの獲得率が多い大会となった。ダイバーの防止が一番の観点であるような気がしたのだが、どうやら、いままでの審判はペナルティエリアの多くのファールを見逃している、という結果が出た。これは少々意外であったが、映像で誰もが再確認出来るため、公平性としては大成功であろう。  しかし、VARの結果から少し未来を見据えるとおかしな未来が見えてくる。  まず、VAR導入前は、審判はペナルティエリアにおいて多くのファールを見逃してきた。という結果が導き出された。どうやら、ディフェ...

ロシアの地でサリダ・ラボルペは終焉を迎えたのか。

ロシアの地でサリダ・ラボルペは終焉を迎えたのか。:  ポゼッションゲームの雄はスペイン、ラ・リーガである。そこにいれば、ゴールキーパーからパスを繋ぐ場合、毎試合見られる定石がある。サリダ・ラボルペ――。しかし、その基礎が南米にあることは専門家レベルでしか知られていない。アルゼンチンのラボルペがメキシコリーグで実践したボール供給法が、それだ。  戦後から現代においても、フォワードは最大三人。そしてディフェンスも最小で三人だ。であれば、三バックにゴールキーパーを含めた四人でパス回しを行えば常に優位に立てるというのが、サリダ・ラボルペという戦術の基幹をなしている。もちろん、奪いに来る相手が一人...

2018年7月15日日曜日

上半身の強化に片手懸垂のすすめ。

上半身の強化に片手懸垂のすすめ。:  現代フットボールでは上半身の強さも考慮されるようになった。といっても、ラガーマン程にはいらない。特別な器具を最小限にしてフットボールプレイヤーに必要な上半身を鍛えることは、何百人といったアカデミーでは効率が良い。  そこで懸垂のトレーニングを一つ取り入れる。正直この一つだけでも良い。懸垂は胸筋を中心として体幹筋群を鍛える事ができる。過剰に回数を増やせないところも効率が良い。片手懸垂の世界記録保持者でも一分間に精々二十回程度である。一般の人間は一回も出来ないレベルの強度だ。  片手懸垂のトレーニングを行うには段階が必要だ。最初のレクチャーとして姿勢堅持...

2018年7月14日土曜日

ナイキのアカデミーは広告的と思いきや、中々よいレッスンをしている。

ナイキのアカデミーは広告的と思いきや、中々よいレッスンをしている。:  スポーツの世界では米国のナイキは巨人だが、フットボールの世界ではドイツのアディダスの天下だ。歴史を重んじる欧州、あるいはフットボール不毛の地である故の忌避、フットボールの中心は欧州なのだから米国は蚊帳の外。しかし米国のビジネスは逞しい。ついに、ナイキ自身がフットボールのアカデミーを権威高い英国に設立する戦略に出た。筆者も重箱の墨を突く陪審の心持ちで見学に参加したが、逆に関心してしまった。  最も良いと思ったのは、パスで立ち止まらない練習である。少し前にオフ・ザ・ボールの動きが注目されていたが、それはもう古い。今は、パ...

3バックと4バックの守備強度に関して育成年代に話すと――。

3バックと4バックの守備強度に関して育成年代に話すと――。:  育成年代でいうと、中学年代後半から少しずつ戦術を教える時期である。個人技術に特化した突破は、絶対的な効力こそなくなったが、まだ幾分か効力はある。しかし、個の力と集団の力が逆転する時期でもある。戦術は勝敗を知性によって再分配する仕組みだ。もしかしたらこの時期からフットボールが面白くなる選手も多いのかもしれない。大敗していたものが、戦術によりそうでもなくなり、試合の一時的な局面では、プロのような連携も可能になるからだ。  そのためには、陣形の殆どを占める、3バックと4バックを説明しなければならない。どちらが勝てるのか、という話で...

縦に出すことの利点。

縦に出すことの利点。:  縦に速く――。現代フットボールのキーワードだ。しかし、何故縦に速く出すのか、理論的に示されていないことが多い。縦に速く出す、最短距離だから良い、といった感覚の人間は多い。しかし、厳密には違う。縦に速く出すことは組織化されたプロのチームであれば有るほど利点のあるものなのだ。  そのためには、まず、レーンの概念を説明する必要がある。従来の横に三分割した、アタッキング・サード、ミドル・サード、ディフェンシブ・サードは有名だが、二十一世紀に入りショートパスの有効性が証明されると、縦に分割する考え方が生まれた。これがレーンの概念で、一般的に五分割する。似ているが英国では縦...

2018年7月13日金曜日

育成年代の監督が八歳までに教えること。

育成年代の監督が八歳までに教えること。:  まず八歳以下の選手は高度な戦術の把握が難しい事を理解する必要がある。数学の因数分解を中学年代で教えるのは脳の発育上の問題があるからである。概念や類似置換という話が特に知性を必要とするようだ。興味の問題もある。色々なものに興味が向く分、集中力とはイコール興味の程度に他ならない。興味は自分中心の考え方であり夢中になることは可能だが、周りとの連携は自我が許さないことが多い。  そして精神の発育を促すことは監督の仕事ではない。日本ではそれも仕事のように捉えられるが、幼少期の育成年代の監督が教えることは技術である。年代により教える技術は詰まっているのだ。...

2018年7月12日木曜日

サウスゲートのセットプレイ、散開戦術の勘所。

サウスゲートのセットプレイ、散開戦術の勘所。:  ロシアワールドカップのいくつものコーナーキックにおいて、キック直前に位置取りで揉める場面が多く見られる。さらには、空中では肘打ちやホールドによる妨害。目立つ一人がするなら審判は判定できようが、十人以上となれば正しいジャッジは無理な話である。  さて、イングランドはこれからワールドカップに臨もうとしている。妨害の多くはイングランドの中心人物ハリー・ケインに集中するだろう。妨害だけならまだしも、セットプレイで彼が負傷しては元も子もない。相手がどのように出てくるか考えた場合、中心人物を徹底的にマークするのは当然の戦略である。  サウスゲートはそ...

プレースキック時の呼吸はラマーズ呼吸。

プレースキック時の呼吸はラマーズ呼吸。:  ラマーズ呼吸とは産科医のラマーズが導入した出産時の呼吸法のことだ。ヒッ、ヒッ、フー、とオノマトペの方がわかりやすいだろう。  フットボールとヒッ、ヒッ、フー。もちろん、冗談で言っているのではない。フットボールは極端に酸欠が発生するスポーツである。酸欠はまず内臓に影響を与える。スピードを挙げたタイミングで横腹が痛くなる原因の一つは酸欠である。運動において酸素は使用する部位に集中的に送られる。フットボールなら多くは下半身だ。接触に寛容な現代では上半身も使われるようになってきた。スプリント時には一時的に呼吸も止める。酸欠はますます深刻である。そこで運...

体幹は大事だがアジリティディスクの事故率は高い。

体幹は大事だがアジリティディスクの事故率は高い。:  少し前まで採用をしていて中止した体幹トレーニングがある。フットボールでいう体幹とは、相手との接触等により体が通常動作に比べ崩れた場合、体全体で持ち直す総合的な力である。全身の筋力でもあり感覚でもあるため、総じてフットボールの様々な事象において倒れない力、と言ったほうがわかりやすい。  問題は体幹を鍛えるとされる器具、アジリティディスクだ。バランスを崩す事が容易に出来るのが最大の利点で、確かに体幹を鍛えることが出来、育成年代で採用していた。しかし、アジリティディスクを用いたトレーニングを週一度、二部練習時に行い年間運用させると、年間の...

2018年7月9日月曜日

運動飢餓を知らぬ母親の説得に苦労する。

運動飢餓を知らぬ母親の説得に苦労する。:  チームで子供を預かる場合、食事を提供する母親を説得するのは苦労する。問題はその量だ。女性としては食事と肥満は切っても切れない関係であるからかもしれない。しかし活発に動く成長期の人間にとっては食事と運動飢餓だ。  運動によるエネルギー消費量を理解できないのが最大の問題で、親は文字通り一般人の食事量を元に食事を提供しようとする。人間は一日二千キロカロリーを必要とし、七割が維持、二割は活動、一割は消化のため。子供は成長するから、もう少し多めに――。知識としては間違いなく正しいだろう。  しかし、もう少し多めにという感覚が千キロカロリーとは考えない。メ...

乾のタッチラインから内へ入る動き。

乾のタッチラインから内へ入る動き:  ロシアワールドカップの乾の戦略は一貫していた。守備は問題のあるものの、攻撃としては自身の長所を最大限に出す戦略であったと言える。  ファイナルサード付近でタッチラインを踏みサイドに張る。相手は中央を固めるために何度もフリーで乾は受けた。吉田は柴崎のフィードから学んだのか、現代的ボランチの役目を徐々にこなしロングボールをフリーの乾に入れるようになった。  しかし、二ゴール一アシストの活躍をするにはもう一手工夫で、それは徹底していた。コーナーの袋小路へ向かわないことである。  ロングボールを受け取った乾は頻繁に外へフェイントを入れた。侵入したいのは内だ。...

2018年7月8日日曜日

野球式一軍二軍、トーナメント方式に今だに依存する日本の蹴球育成環境。

野球式一軍二軍、トーナメント方式に今だに依存する日本の蹴球育成環境:  正直にいうと日本は億万人居るのだから野球的一軍二軍の考え方で問題ないかもしれない。しかし人口比による潜在力として考えた場合、人口三十万人のアイスランドでワールドカップに出場できる戦力を整えられることがわかっている。欧州の育成年代は十代前半まで可能な限り全員を試合に出場させるプロと同じ形式のリーグ戦があり、年間五十試合は組まれる。もしかしたら日本の学校的区分が良くないのかもしれない。同一組織でも八チームあることは欧州ではザラで、同組織の複数チームはそれぞれレベル別のリーグ戦に五十試合分参加することで選手の可能性を潰さな...

現代フットボールの共通戦術、モダンプレッシング。

現代フットボールの共通戦術、モダンプレッシング:  現代フットボールはハードだ。ストライカーの走行距離が五キロに満たないマラドーナの時代とは違うし、スプリント速度が二十五キロ程度のジーコやヨハン・クライフが体力測定で入団を拒否されるような時代である。  アスレチックな能力を前提に現代フットボールは再構築を行っていると言っても良い。しかし、十代前半のゴールデンエイジには技術を中心に教えなければならないという、アカデミーの育成者にはジレンマもある時代だ。  何故ここまでアスレチック化しているかというと、一つには技術革新により数値化しやすくなったからだろう。もう一つは、相手へ寄せる能力が...

2018年7月7日土曜日

マン・ゾーンとボール・ゾーン

マン・ゾーンとボール・ゾーン:  フットボールのディフェンスの大枠はマンツーマンとゾーンディフェンスである。今注目したいのはゾーンディフェンスだ。陣形守備やゾーンとも略す。ゾーンといっても、フットボールはバスケットボールではないので、コートに対して行うゾーンはセットプレイの場面でしか存在ない。  フットボールのゾーンディフェンスは二種類に分けられる。人を中心にゾーン陣形を組むマン・ゾーンと、球を中心にゾーン陣形を組むボール・ゾーンだ。極自然と成立するゾーンは、相手の位置に応じて陣形を変えるマン・ゾーンであり、一見効率も良さそうに見える。しかし、フィールド全てでプレッシングが常識となっ...

2018年7月6日金曜日

ハリルは結局、的を得ていたのではないだろうか。

 ハリルが分析したように、ワールドカップの勝ち所は彼が掲げた縦の速さだった。日本フットボール界のスポンサー的問題で、ハリルより本田を優先した田嶋協会だが、グループリーグを突破したのも柴崎の縦のセンスであったし、本選に破れたのも縦の速さであった。そもそも、ブラジルワールドカップの戦術分析にも、ゴールに至るまでのパス数は少ない方が点を取りやすいことは判明していたし、世界標準でもあるプレミアリーグは極端に縦に速い。ロシアを振り返れば、ハリルの遺産でベスト十六を達成したとも言える。もちろん細かい修正に関しては西野の手腕であるが――。  日本協会の監督選びは旧ユーゴ系列、イタリア系列...

敗因を挙げれば本田だが、さて彼の行動を止められるのか。

 ロシアワールドカップ本戦、日本対ベルギー。最終的に逆転され二対三で負け。まさか。劇的に。と、素晴らしい試合だったとは言えるが、日本人っぽい負け方だな、と、にわかの周囲が言えば、確かに納得もしてしまう。  試合後、第三者であるイタリアの名将カッペロが日本戦を解説し、「私なら、あの時、本田に時間稼ぎをさせる」と言った。  あの時とは運命の瞬間だ。  後半二点先行し、二点返され同点。試合が振出しに戻った七十四分からは防戦一方。国際ランキング通りに圧倒されるばかりである。そして運命の九十四分。フリーキックを経て後、コーナーキック。最後のチャンスを日本は得る。キッカーは本田。すぐに蹴った。弾き...
madara.tenmoku. Powered by Blogger.