2018年7月12日木曜日

サウスゲートのセットプレイ、散開戦術の勘所。

サウスゲートのセットプレイ、散開戦術の勘所。:
 ロシアワールドカップのいくつものコーナーキックにおいて、キック直前に位置取りで揉める場面が多く見られる。さらには、空中では肘打ちやホールドによる妨害。目立つ一人がするなら審判は判定できようが、十人以上となれば正しいジャッジは無理な話である。
 さて、イングランドはこれからワールドカップに臨もうとしている。妨害の多くはイングランドの中心人物ハリー・ケインに集中するだろう。妨害だけならまだしも、セットプレイで彼が負傷しては元も子もない。相手がどのように出てくるか考えた場合、中心人物を徹底的にマークするのは当然の戦略である。
 サウスゲートはそこで考えた。初期の位置取りを放棄する代わりにマークの分散を行う事。何処に誰が配置されるかは、毎試合変える。散開は複雑で規則性がない。乱数を使っているような動きだ。背番号、コーナーキックの回数、あるいは前半か後半かで、ニアかファーだけを指示され、各選手が思い思い動いているようだった。セットプレイ対策を大本からキャンセルするような意図が見えた。
 位置取りは、ペナルティ・キック付近に全員が集合する。少し後ろめ、という感覚だろう。それにより、相手はマンマークをしたいが、ゴール前を固めるためゾーンディフェンスしか出来なくなった。例え試合前にケイン対策としてマンマークを練習していたとしても――。キックと同時にプラン通りに散開。コーナキックにおいては今大会ナンバーワンの決定率だ。
 これがロシアでほぼ毎試合点を取ったセットプレイ戦術である。イングランドは結局最後までたどり着けなかったが、今後のワールドカップにおいて主流になりそうな戦術を彼は披露したのだった。

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