2018年7月9日月曜日

運動飢餓を知らぬ母親の説得に苦労する。

運動飢餓を知らぬ母親の説得に苦労する。:
 チームで子供を預かる場合、食事を提供する母親を説得するのは苦労する。問題はその量だ。女性としては食事と肥満は切っても切れない関係であるからかもしれない。しかし活発に動く成長期の人間にとっては食事と運動飢餓だ。
 運動によるエネルギー消費量を理解できないのが最大の問題で、親は文字通り一般人の食事量を元に食事を提供しようとする。人間は一日二千キロカロリーを必要とし、七割が維持、二割は活動、一割は消化のため。子供は成長するから、もう少し多めに――。知識としては間違いなく正しいだろう。
 しかし、もう少し多めにという感覚が千キロカロリーとは考えない。メッツで計算してもわかるのだが、たった二時間の運動でもフットボールは千キロカロリーを消費するスポーツだ。プロの試合であれば、千五百キロから二千キロカロリーをたった数時間で消費する。筋肉が大食らいであることを理解できないと言い換えても良い。筋肉は消費した以上に回復に当てる栄養がなければ消耗するばかりだ。筋刺激を運動で与え、筋力を増強するチャンスであるのに。
 運動飢餓が保護者の無知で子供に発生するのは、育成年代の障害だ。もしかしたら日本人選手のフィジカルに関する最初の問題がここにあるのかもしれない。
 もちろん回避する手段もある。寮に入れ的確な時間に的確な量を提供することだ。チョコレートは禁止だが、ポテトチップスが可なら文句はあるまい。一日の食事は三食と運動直後の補食になる。補食といってもオヤツのようなものではない、なにせ訓練で失われた千五百キロカロリーを取るのだから、胃にとっては強大な負担だ。また日本特有の問題もある。ピロリ菌。スポーツ特待を受ける学生にはメディカルチェックでまずピロリ菌が存在しない事を証明してもらっている。胃袋の大きさはイコール筋力維持量だからだ。
 技術はあってもフィジカルが弱い日本人の課題は根深い。幼少期から専門のアカデミーに入れるメリットは日本にこそあるような気がする。それこそ日本の保護者的に難しいが。

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