2018年7月9日月曜日

乾のタッチラインから内へ入る動き。

乾のタッチラインから内へ入る動き:
 ロシアワールドカップの乾の戦略は一貫していた。守備は問題のあるものの、攻撃としては自身の長所を最大限に出す戦略であったと言える。
 ファイナルサード付近でタッチラインを踏みサイドに張る。相手は中央を固めるために何度もフリーで乾は受けた。吉田は柴崎のフィードから学んだのか、現代的ボランチの役目を徐々にこなしロングボールをフリーの乾に入れるようになった。
 しかし、二ゴール一アシストの活躍をするにはもう一手工夫で、それは徹底していた。コーナーの袋小路へ向かわないことである。
 ロングボールを受け取った乾は頻繁に外へフェイントを入れた。侵入したいのは内だ。中央付近まで侵入し、シュートコースがあれば自ら打ち、難しそうなら中央の香川と連携を模索する。後ろの長友にコーナーからの攻撃は任せていた。それほどまでにコーナーに移動することを禁止していた。
 乾、香川、長友で攻撃の整理があったのだろう。そしてそれは非常に単純なもので、これは即採用可能な戦術だ。
 サイドバックはオーバーラップ時にはサイドからの攻撃のみを行う。タッチライン際のウィングはサイドを捨て中央への侵入を常に試みる。時間がかかるなら、オーバーラップしたサイドバックか中央のプレイヤーに預ける。
 侵入する技量は必要だが、連携面は非常にシンプルになる。まずボールを貰ったら仕掛けるという一択しか無い。その後の状況により手は最大で三手まで増える。侵入に手こずるほど選択肢が増えるのも良い。
 誰が考えた戦術か――、といえば、エイバルの攻撃的指揮官メンディリバルであろう。乾の動きはエイバルの時と全く同じだからだ。おそらく、乾は香川のスターティングが確実となった時点で会話を持ったはずだ。この戦術はよく機能した。香川は欧州では有名な選手で中央を開けるわけにも行かない。本田でも同様だった。ロングボールが入りやすくなったのは中央にスタープレイヤーがいるからでもある。
 乾は次の構想にも入るだろうから、そのうち広く知られる戦術になるであろう。

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