2018年7月17日火曜日

VARはPKを多くした。そして、MF、DFに転倒が起こる。

VARはPKを多くした。そして、MF、DFに転倒が起こる。:
 ロシアで採用された映像判定システムは、大会が終わってみればPKからの獲得率が多い大会となった。ダイバーの防止が一番の観点であるような気がしたのだが、どうやら、いままでの審判はペナルティエリアの多くのファールを見逃している、という結果が出た。これは少々意外であったが、映像で誰もが再確認出来るため、公平性としては大成功であろう。
 しかし、VARの結果から少し未来を見据えるとおかしな未来が見えてくる。
 まず、VAR導入前は、審判はペナルティエリアにおいて多くのファールを見逃してきた。という結果が導き出された。どうやら、ディフェンスはファールを隠すのがストライカーより匠で、もっとペナルティエリアではファールが多いようだ。しかし、今大会PKの獲得率は多くとも、まさにファールのもののみが正確に判定されるようになった。アカデミーでは今後このように教えなければならない――。
「ペナルティエリアでのファールは映像判定が常に行われる。もう相手の太股を蹴る守備技術は使えない。使うならエリア外で行うように。その位置では映像判定が行われないため、積極的に潰すべきである。特にカウンターは早めのファールが有効だ」
 違和感はあるが、より早く実践するのは晩夏から始まる欧州各地のプロリーグであろう。イタリアの戦術の導入は早いので、迅速に適応するはずだ。
 ペナルティエリアでの接触は少なく、中盤の接触は過剰に多く――。ロシア後の傾向になるはずである。そして、MF、DFのタレント性に転倒が起こる。旧来MFの役であったボランチがDFに移っただけではなく、MFの位置そのものを守備能力が高いDFが担う必要が出てくる。何故なら技術的なファールはもうペナルティエリアでは通用しないからだ。そうすると、DFに求められるのはスピードで抜かれないことであり、これは旧来MFに必要とされた能力である。VARはMFとDFの境界を決壊させる。ルールではなく、科学技術から戦術に変更が入るのは、おそらく初めてではないだろうか。
 さらに未来、半世紀後には、DFとGKの呼称しか存在しなくなり、攻撃の瞬間にDFはFWと呼び名が変わる時代が来るのかもしれない。

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