2018年7月14日土曜日

ナイキのアカデミーは広告的と思いきや、中々よいレッスンをしている。

ナイキのアカデミーは広告的と思いきや、中々よいレッスンをしている。:
 スポーツの世界では米国のナイキは巨人だが、フットボールの世界ではドイツのアディダスの天下だ。歴史を重んじる欧州、あるいはフットボール不毛の地である故の忌避、フットボールの中心は欧州なのだから米国は蚊帳の外。しかし米国のビジネスは逞しい。ついに、ナイキ自身がフットボールのアカデミーを権威高い英国に設立する戦略に出た。筆者も重箱の墨を突く陪審の心持ちで見学に参加したが、逆に関心してしまった。
 最も良いと思ったのは、パスで立ち止まらない練習である。少し前にオフ・ザ・ボールの動きが注目されていたが、それはもう古い。今は、パス・アンド・ムーブで連続事象の洗練が重要である。プレイを四次元的に切り取った場合、最も再現性が高い事象とはパス・アンド・ムーブだからだ。
 さて、パスで立ち止まらない練習は、ポゼッションゲームの応用で行う。ボールを失わない、地面に這うパスを出す。そして加えるのは、パスを出した場合、最寄りのポールにスプリントを掛ける事である。フィールドにはニチームの他に無数にポールが立っている。ボールを出した後はシャドウトレーニングに近くなるが、連続で同じポールに向かわない等、細かい制約も存在するようだ。同じ位置にポジションを取らせないための制約であろう。創造性の工夫にも見えた。
 アカデミーでは画一的な選手を作り出すことは可能だが、創造的なプレイを獲得する手段が試合でしか無いと批判されている。さらにはその試合は戦術の消化を目的にしているのだから、動きはまたマニュアル的だと批判される。アカデミーではメッシを創造できるが、マラドーナは創造できない――。耳が痛いところでもあるのだ。今だ熱狂的なストライカーはストリート的な南米が圧倒的な輩出量を誇る。
 育成年代においてパスを出した後、足が止まる選手は多い。その延長でJリーグでもパスを出した後、動きをやめてしまう選手がいるが、誰も矯正しようとしない。
 新興のナイキは古いものの欠点がよく見えているのかもしれない。


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